はじめに
退職を考えるとき、多くの人が抱える不安の一つが、退職後の生活をどう安定させるかということです。その中でも特に重要なのが退職給付金の存在です。しかし、退職代行サービスを利用する場合、給付金が受け取れるかどうか心配になる方も多いでしょう。
退職代行サービスは、退職手続きを代行してくれるサービスで、最近ではその利用者が増加しています。自分で退職の意思を伝えることに抵抗がある方や、円滑に手続きを進めたい方にとっては大変便利なサービスです。しかし、退職代行を利用することで給付金に影響が出るのではないかと心配する声も少なくありません。
本記事では、退職代行サービスを利用しても受け取れる退職給付金について詳しく解説し、その種類や具体的な受け取り方法、手続きの注意点などを紹介します。これにより、退職を考える皆さんが安心して退職代行を利用し、スムーズに給付金を受け取れるようになることを目指しています。退職後の生活を安定させるための情報をしっかりと把握し、最適な選択をするための参考にしてください。
退職したら貰えるお金は何がある?

退職後に貰えるお金?
失業保険
就職促進給付
求職者支援制度
広域求職活動費
特例一時金
日雇労働求職者給付金
傷病手当
傷病手当金
未払賃金立替払制度
老齢更生年金
退職金
失業手当・失業保険
失業保険とは、ご自身の都合に退職した方や、会社の倒産やリストラなど会社の都合で退職された方が、再度、就職活動をするにあたって経済的な負担を軽減するために支給される公的な給付になります。一般的には、「失業手当」と言われますが、正式名称は「基本手当」です。
失業手当を給付する際にベースとなる制度が「失業保険」であり、こちらの正式名称は「雇用保険」であり公的保険制度の1つになります。
失業手当を受け取れる対象
まず、失業手当を貰うためには、雇用保険の被保険者であることが大前提となります。そのうえで、失業手当を受け取るための条件は、自己都合による退職(一般離職者)と、会社都合による退職(特定受給資格者)で、条件や給付金額が異なります。
一般離職者
雇用保険の一般被保険者に対する求職者給付の基本手当の所定給付日数(基本手当の支給を受けることができる日数)は、受給資格に係る離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められます。

特定受給資格者
特に倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者(特定受給資格者といいます。範囲については特定受給資格者の範囲をご覧ください。)及び、特定受給資格者以外の者であって期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職した者(特定理由離職者といい、そのうち「特定理由離職者の範囲」の1に該当する方を指します。)一般の離職者に比べ手厚い給付日数となる場合があります。

特定受給資格者の範囲に関して
特定受給資格者とは、一般の離職者よりも有利な条件で失業給付を受けることができる者を指します。特定受給資格者に該当する理由を以下にまとめます。
基本的に、倒産による離職や会社都合による解雇が該当します。
事業主の都合による離職
解雇:正当な理由なく解雇された場合。
倒産:勤務先が倒産した場合。
経営不振:経営不振によるリストラで離職した場合。
労働条件の重大な変更
賃金の大幅な減額:賃金が大幅に減額された場合。
労働時間の変更:労働時間が大幅に変更され、生活に支障が出る場合。
労働環境の悪化:過度な業務量や過労、職場でのハラスメントなどにより、働き続けることが困難になった場合。
事業所の都合による変更
事業所の移転:遠距離への事業所移転により、通勤が困難になった場合。
勤務形態の変更:シフト制の変更などで、生活リズムが大きく崩れる場合。
その他
災害の影響:自然災害や重大な事故により、勤務先が影響を受けた場合。
法律や規制の変更:法律や規制の変更により、勤務を続けることが困難になった場合。
詳細は、ハローワークのHPをご覧ください。
特定理由離職者の範囲に関して
特定理由離職者の範囲は、下記に該当するものを指します。
契約期間の満了
有期契約の終了:契約期間が満了し、更新されなかった場合。
契約更新の拒否:雇用者が契約更新を希望したが、雇用主が拒否した場合。
事業所の都合
事業所の移転:事業所が遠方に移転し、通勤が困難になった場合。
事業所の閉鎖:勤務先の事業所が閉鎖した場合。
労働条件の変更
労働条件の悪化:労働時間、賃金、その他の労働条件が大幅に悪化した場合。
業務内容の変更:業務内容が大幅に変更され、従業員にとって困難な状況になった場合。
職場環境の問題
ハラスメント:職場でのハラスメント(セクハラ、パワハラなど)が原因で離職した場合。
健康被害:職場環境が原因で健康被害が発生した場合。
家庭の事情
家族の介護:家族の介護が必要となり、勤務を続けられなくなった場合。
配偶者の転勤:配偶者の転勤に伴い、転居が必要となり離職した場合。
健康上の理由
健康悪化:業務による健康悪化や職場環境の影響で働き続けることが困難になった場合。
病気やケガ:自己または家族の病気やケガにより、勤務を続けられなくなった場合。
その他
法律の変更:法律や規制の変更により、現在の勤務を続けることが困難になった場合。
災害:自然災害やその他の重大な出来事により、勤務先が影響を受けた場合。
詳細は、ハローワークのHPをご覧ください。
失業手当を受け取るための受給要件
雇用保険の被保険者が離職して、下記の2点を満たす場合に、一般被保険者は基本手当が支給されます。
ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
そのため、次ような状態にある場合は、基本手当が支給されません。
支給対象外
病気やけがのため、すぐには就職できないとき
妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
離職の日以前2年間に、被保険者期間(※補足2)が通算して12か月以上あること。
ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
失業手当を受け取れる期間
雇用保険の受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日)ですが、その間に病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その働くことのできなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。ただし、延長できる期間は最長で3年間となっています。
なお、所定給付日数330日及び360日の方の延長できる期間は、それぞれ最大限3年-30日及び3年-60日となります。
失業手当の支給額
雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。
数式:基本手当日額=賃金日額(退職前の6ヶ月の賃金合計➗180)✖️給付率(50〜80%)
基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められており、現在は次のとおりとなっています。

就職促進給付
雇用保険の失業等給付の就職促進給付のうち「就業促進手当」として、「再就職手当」、「就業促進定着手当」、「就業手当」などがあります。
その概要は以下のとおりです。
再就職手当
再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合に基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。
再就職手当の支給額は下記になります。
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の方は、所定給付日数の支給残日数×70%×基本手当日額((注意1)一定の上限あり)。
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の方は、所定給付日数の支給残日数×60%×基本手当日額((注意1)一定の上限あり)。
注意事項
注意1:基本手当日額の上限は、6,290円(60歳以上65歳未満は5,085円)となります。(毎年8月1日以降に変更されることがあります。)
就業促進定着手当
就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた人が、引き続きその再就職先に6か月以上雇用され、かつ再就職先で6か月の間に支払われた賃金の1日分の額が雇用保険の給付を受ける離職前の賃金の1日分の額(賃金日額)に比べて低下している場合、就業促進定着手当の給付を受けることが出来ます。
離職した会社と再就職した会社の給料を比較して、下がっている場合は、その差分に近い金額が支給されるとのことです。(上限がある)
支給額:(離職前の賃金日額-再就職手当の支給を受けた再就職の日から6か月間に支払われた賃金額の1日分の額)×再就職の日から6か月間内における賃金の支払いの基礎となった日数(通常月給制の場合は暦日数、日給月給制の場合はその基礎となる日数、日給制や時給制の場合は労働の日数)
支給上限額:基本手当日額(注意2)×基本手当の支給残日数に相当する日数(注意3)× 40%(注意4)
注意事項
| 注意2: | 基本手当日額の上限は、6,290円(60歳以上65歳未満は5,085円)となります。(毎年8月1日以降に変更されることがあります。) |
| 注意3: | 再就職手当の給付を受ける前の支給残日数です。 |
| 注意4: | 再就職手当の給付率が70%の場合は、30%です。 |
就業手当
就業手当は、基本手当の受給資格がある方が再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態で就業した場合に基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上あり一定の要件に該当する場合に支給されます。支給額は、就業日×30%×基本手当日額((注意5)一定の上限あり)となります。
支給額:就業手当支給額=基本手当日額 × 30% × 就業日数
注意事項
注意5:1日当たりの支給額の上限は、1,887円(60歳以上65歳未満は1,525円)となります。(毎年8月1日以降に変更されることがあります。)
求職者支援制度

求職者支援制度は、日本の雇用保険に加入していない失業者や、雇用保険の受給が終了した人などを対象に、職業訓練と生活支援を提供する制度です。この制度は、就職を支援し、職業能力の向上を図ることを目的としています。以下に詳しく説明します。
求職者支援制度の概要
対象者
求職者支援制度の対象となるのは、以下の条件を満たす人です。
- 雇用保険に加入していない人(主にフリーターや主婦など)
- 雇用保険の受給が終了した人
- 雇用保険に加入しているが、離職して求職活動を行っている人
支援内容
求職者支援制度は、以下の2つの支援を提供します。
支援内容
職業訓練:無料または低額の費用で職業訓練を受けることができます。
生活支援:訓練期間中の生活を支えるための給付金が支給されます。
職業訓練
訓練コース
職業訓練には、以下の2種類のコースがあります。
- 基礎コース:主に基礎的な職業能力を身につけるための訓練。例えば、パソコン操作やビジネスマナーなど。
- 実践コース:専門的な技術や知識を習得するための訓練。例えば、IT、医療、介護、製造業など。
訓練期間
訓練期間はコースによって異なりますが、一般的には3か月から6か月程度です。訓練はフルタイムで行われることが多いです。
訓練費用
訓練費用は原則として無料ですが、教材費や交通費などの実費がかかる場合があります。
生活支援
職業訓練受講給付金
職業訓練を受講している期間中に、生活を支援するための給付金が支給されます。具体的には以下の内容が含まれます。
- 職業訓練受講手当:月額10万円
- 通所手当:訓練施設への通所にかかる交通費(月上限42,500円)
- 寄宿手当:訓練施設への通所が困難な場合、月額10,700円の寄宿手当
支給要件
給付金を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 収入要件:本人の月収が8万円以下であること(世帯全体の収入に応じて異なる場合があります)。/世帯収入が月収30万円以下
- 資産要件:世帯全体の金融資産が300万円以下であること。住居以外に土地・建物を所有していないこと
- 求職活動要件:訓練期間中に一定回数以上の求職活動を行うこと(具体的な回数は地域や訓練内容によって異なる)。
- その他要件:訓練実施日全てに出席する(やむ終えない事情がある場合:一般的には80%以上)。
申請手続き
申請方法
求職者支援制度を利用するためには、以下の手続きを行います。
- ハローワークに相談:最寄りのハローワークで相談し、自分に適した訓練コースを選びます。
- 訓練の申込:ハローワークを通じて訓練機関に申込を行います。
- 給付金の申請:訓練開始後に給付金の申請を行います。申請には、収入証明書や 預金通帳の写しなどが必要です。
申請書類
申請には以下の書類が必要です。
- 申請書(ハローワークで配布)
- 収入証明書
- 預金通帳の写し
- その他、ハローワークが指定する書類
注意点
訓練の出席率:訓練の出席率が低いと給付金の支給が停止されることがあります。
就職活動:訓練期間中に積極的に就職活動を行うことが求められます。
訓練修了後のフォロー:訓練修了後もハローワークが就職活動をサポートします。
広域求職活動費
広域求職活動費とは、受給資格者等がハローワークの紹介により遠隔地にある求人事業所を訪問して求人者と面接等をした場合支払われるもので、交通費及び宿泊料が支給されます。
受給要件
雇用保険の受給資格者等であること。
待期の期間が経過した後に広域求職活動を開始したこと。
ハローワークに紹介された求人が、その受給資格者の方に適当と認められる管轄区域外に所在する事業所のもので、その事業所の常用求人であること。
住居所管轄のハローワークから、訪問する求人事業所の所在地を管轄するハローワークの間の距離(往復)が、交通費計算の基礎となる鉄道等の距離で200キロメートル以上あること。
広域求職活動に要する費用が、訪問先の事業所の事業主から支給されないこと、又はその支給額が広域求職活動費の額に満たないこと。
受給方法は、広域求職活動を終えた日の翌日から10日以内に、自分が住んでいる住居所管轄のハローワークへ行き、求職活動支援費(広域求職活動費)支給申請書に受給資格者証、広域求職活動指示書及び広域求職活動面接等訪問証明書を添えて提出します。
特例一時金
特例一時金とは、季節ごとに雇用されている労働者などを短期雇用特例被保険者として、一般の被保険者と区別して給付されるものです。このような一時金制度をとっている背景としては、これらの短期雇用特例被保険者は一定の期間ごとに就職と離職を繰り返すことが多いため、一般の被保険者への求職者給付より一時金制度とすることのほうがその生活実態により促しているということがあげられます。
受給要件
大前提、短期雇用特例被保険者であること。
離職により資格の確認を受けたこと。
労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあること。
算定対象期間(原則は離職前1年間)に被保険者期間が通算して6か月以上あること。
支給額:特例受給資格者を一般被保険者とみなして計算した基本手当の日額の30日分とされています(ただし、当分の間は暫定措置で40日分となります)。
また、支給されるタイミングは、失業認定がされた日に行われます。
日雇労働求職者給付金
日雇労働求職者給付金は、日雇い労働者が失業した際に生活の安定を図るための金銭的支援を提供することを目的としています。

対象者
この給付金の対象者は以下の条件を満たす日雇い労働者です。
日々雇い入れられる者及び30日以内の期間を定めて雇い入れられる者
適用区域(特別区もしくは公共職業安定所の所在する市町村の区域(厚生労働大臣が指定する区域は除かれます。)または厚生労働大臣が指定する隣接市町村の全部または一部の区域。)内に居住し、適用事業に雇用される者
適用区域外に居住し、適用区域内の適用事業に雇用される者
適用区域外に居住し、適用区域外の適用事業で、日雇労働の労働市場の状況その他の事情に基づき厚生労働大臣が指定したものに雇用される者
申請方法
給付金の申請はハローワークを通じて行います。申請には以下の書類が必要です。
日雇い労働被保険者手帳
身分証明書
就労証明書や給与明細
申請書類(ハローワークで配布)
支給金額
支給金額は日数に応じて異なりますが、日雇い労働者が失業した日に対して一定額が支給されます。具体的な金額は法令や状況によって変動しますので、詳細はハローワークで確認することが重要です。
傷病手当
雇用保険の傷病手当とは
雇用保険の傷病手当は、正式には「傷病手当金」と呼ばれ、主に以下の状況で支給されます。
- 失業中の傷病:失業手当を受給中に病気や怪我で労働不能となった場合。
- 労働不能の継続:労働不能が15日以上継続する場合に支給されます。
支給条件
傷病手当金を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険の被保険者であること:雇用保険に加入していた期間が一定期間以上あること。
- 労働不能であること:病気や怪我により、労働が不可能であることが医師によって証明されていること。
- 失業手当の受給期間中であること:失業手当を受給している期間中に発生した病気や怪我であること。
- 待期期間の満了:労働不能が15日以上継続すること。
支給額
傷病手当金の支給額は、失業手当と同額です。具体的には、以下の計算方法で求められます。
支給額 = 基本手当日額 × 支給日数
基本手当日額は、離職前の賃金を基に計算されます。
支給期間
傷病手当金の支給期間は、受給資格者の申出によって、基本手当の受給期間を最大4年間まで延長できます。
申請手続き
傷病手当を受給するためには、職業に就くことができない理由がやんだ後における最初の認定日までに居住地を管轄する公共職業安定所で傷病の認定を受けなければなりません。
傷病手当金を受給するための手続きは、以下の通りです。
- 申請書の提出:最寄りのハローワーク(公共職業安定所)に申請書を提出します。申請書はハローワークで入手可能です。
- 医師の証明:病気や怪我により労働不能であることを証明する医師の診断書が必要です。
- 自己申告:労働不能の状況を自己申告する必要があります。
注意点
雇用保険の傷病手当金は、健康保険の傷病手当金とは異なります。両者を混同しないよう注意が必要です。
傷病手当金の受給には、適切な証明書類や手続きが求められるため、事前にハローワークで確認することが重要です。
よくある質問
健康保険の傷病手当との違いは何ですか? 健康保険の傷病手当は、被保険者が労働不能となった場合に給与の一部を補填するものであり、雇用保険の傷病手当金は失業手当の受給中に発生した労働不能に対して支給されます。
失業手当を受けていない場合でも傷病手当金は受け取れますか? いいえ、傷病手当金は失業手当の受給中に労働不能となった場合にのみ支給されます。
傷病手当金

傷病手当金とは、8章の「傷病手当」とは異なる制度となっています。
傷病手当金(しょうびょうてあてきん)は、日本の健康保険制度に基づき、被保険者が病気やケガで働けなくなった際に支給される給付金です。以下にその概要を詳しく説明します。
対象者
傷病手当金の対象となるのは、健康保険に加入している被保険者です。具体的には、企業の従業員やその扶養家族が該当します。
支給要件
傷病手当金が支給されるためには、以下の4つの要件を満たす必要があります。
支給要件
業務外の病気やケガであること(業務上の事故や病気は労災保険の対象)。
仕事ができないこと。医師の診断により、業務遂行が不可能と認められること。
連続して4日以上仕事を休むこと。最初の3日間は待期期間とされ、この間は支給されませんが、4日目以降から支給が開始されます。
給与の支払いがないこと。病気やケガにより給与が支払われない、または一部のみ支払われる場合に対象となります。
支給額
傷病手当金の支給額は、以下の計算式で算出されます。
支給開始日以前の直近12か月の各月の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3
例えば、直近12か月の標準報酬月額の平均が300,000円の場合:
300,000円 ÷ 30日 × 2/3 ≈ 6,667円/日
支給期間
傷病手当金は、最長で1年6か月間(18か月)支給されます。これは連続した期間であり、途中で回復して仕事に復帰した後に再び同じ病気やケガで休む場合も、最初の支給開始日からの通算で18か月が上限です。
申請手続き
傷病手当金を受け取るためには、以下の手続きを行う必要があります。
申請書の準備:申請書は健康保険組合や会社の総務部門から入手できます。
医師の証明:申請書には、診察を受けた医師による「診断書」の記入が必要です。
会社の証明:申請書には、会社の証明(労務担当者が記入)も必要です。
申請書の提出:健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)に提出します。
注意点
傷病手当金と給与の併給:傷病手当金は、給与が支払われない場合や一部のみ支払われる場合に支給されます。給与が全額支給される場合は、傷病手当金は支給されません。
他の公的給付との調整:傷病手当金は、他の公的給付(例:失業保険、労災保険)と重複して受け取ることはできません。ただし、調整が行われることがあります。
傷病手当金の制度は、被保険者が病気やケガで収入が減少するリスクをカバーする重要な社会保障の一環です。具体的な状況や詳細については、健康保険組合や協会けんぽに直接問い合わせることをおすすめします。
未払賃金立替払制度

未払賃金立替払制度は、日本の労働者が雇用主の倒産などによって賃金が支払われなかった場合に、一定の範囲内で未払賃金を立替払いする制度です。この制度は、労働者の生活の安定を図るためのもので、労働者健康安全機構(JOHAS)が運営しています。
対象となる事業所
未払賃金立替払制度の対象となる事業所は、以下の条件を満たす必要があります。
- 倒産した事業所:会社更生法、民事再生法、破産法、特別清算などの手続きが開始された事業所。(法律上の倒産)
- 労働基準監督署に倒産を認定された事業所。(事実上の倒産)
- 1年以上事業活動を行っていたこと。
対象となる労働者
この制度の対象となる労働者は、以下の条件を満たす必要があります。
労働者が、倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であること
- 倒産前の6か月間に在籍していた労働者。
- 未払賃金が発生していること。
- 労働者の遺族も対象になる場合があります。
立替払の対象となる賃金
未払賃金立替払の対象となる賃金は、倒産前の6か月間に支払われるべきであった賃金です。具体的には以下が含まれます。ボーナスは立替払いの対象となりません。
基本給 / 退職金
立替払の上限額
立替払をする額は、未払賃金の額の8割です。ただし、退職時の年齢に応じて88万円~296万円の範囲で上限が設けられています。
| 退職日における年齢 | 未払賃金総額の限度額 | 立替払の上限額 |
| 45歳以上 | 370万円 | 370万円×80%=296万円 |
| 30歳以上45歳未満 | 220万円 | 220万円×80%=176万円 |
| 30歳未満 | 110万円 | 110万円×80%=88万円 |
申請手続き
未払賃金立替払制度を利用するためには、以下の手続きを行う必要があります。
労働基準監督署に申請:倒産を認定してもらうために、労働基準監督署に申請を行います。
労働者健康安全機構に申請:認定後、労働者健康安全機構に未払賃金の立替払を申請します。
必要書類の提出:申請には、未払賃金の明細や労働契約書などの書類が必要です。
申請の流れ
倒産手続きの開始:会社が倒産手続きを開始します。
労働基準監督署への申請:労働者が未払賃金の立替払を求めて労働基準監督署に申請します。
倒産の認定:労働基準監督署が倒産を認定します。
立替払の申請:認定後、労働者健康安全機構に立替払を申請します。
審査と支給:労働者健康安全機構が申請を審査し、適正と認められた場合、立替払が行われます。
注意点
申請期限:未払賃金立替払の申請期限は、倒産が確定してから2年以内です。
他の補償との調整:未払賃金立替払制度は、他の補償(例:労災保険や失業保険)と重複して受け取ることができる場合がありますが、調整が行われることがあります。
未払賃金立替払制度は、倒産による賃金未払で苦しむ労働者の生活を守るための重要な制度です。具体的な手続きや詳細については、労働基準監督署や労働者健康安全機構に問い合わせることをおすすめします。
老齢更生年金
老齢厚生年金(ろうれいこうせいねんきん)は、日本の公的年金制度の一部であり、厚生年金保険に加入していた被保険者が一定の年齢に達したときに支給される年金です。以下にその詳細について説明します。
老齢厚生年金の概要
対象者
老齢厚生年金は、厚生年金保険に加入していた被保険者が対象です。対象者は、主に企業で働く従業員(サラリーマン)や公務員です。
支給開始年齢
基本的な支給開始年齢は65歳ですが、特別支給の老齢厚生年金として60歳から支給される場合もあります。支給開始年齢は生年月日によって異なります。
支給要件
老齢厚生年金の支給要件は以下の通りです。
年齢:65歳以上であること。ただし、特別支給の老齢厚生年金の場合は60歳以上で支給が開始されることがあります。
年金受給資格期間:老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)を満たしていること。
支給額
老齢厚生年金の支給額は、以下の要素によって決まります。
被保険者期間の長さ:厚生年金保険に加入していた期間が長いほど、年金額は多くなります。
平均標準報酬額:被保険者期間中の給与や賞与の平均額が高いほど、年金額は多くなります。
物価スライド:年金額は物価や賃金の変動に応じて毎年見直されます。
具体的な計算方法は以下の通りです。
老齢厚生年金の計算方法
老齢厚生年金は、以下の式で計算されます。
- 報酬比例部分:平均標準報酬額 × 被保険者期間 × 乗率
- 定額部分(特別支給の老齢厚生年金の場合):定額部分の年金額(年齢と加入期間によって異なる)
繰上げ・繰下げ受給
老齢厚生年金は、以下のように受給開始年齢を繰上げたり繰下げたりすることが可能です。
- 繰上げ受給:60歳から64歳までの間に繰上げて受給することができます。ただし、繰上げた場合、受給額は減額されます。
- 繰下げ受給:66歳以降に繰下げて受給することができます。繰下げた場合、受給額は増額されます。
在職老齢年金

60歳以上で厚生年金保険の被保険者として働いている場合、在職老齢年金の仕組みにより年金の全部または一部が支給停止となることがあります。
60歳から64歳の場合:月収が28万円を超えると、一定の金額が支給停止になります。
65歳以上の場合:月収と年金額の合計が50万円を超えると、一定の金額が支給停止になります。
申請手続き
老齢厚生年金の受給を開始するためには、以下の手続きを行う必要があります。
- 年金請求書の提出:日本年金機構から送られてくる年金請求書に必要事項を記入し、提出します。
- 必要書類の準備:年金手帳、本人確認書類、振込先口座情報などの書類を用意します。
- 年金事務所への提出:最寄りの年金事務所に書類を提出します。
まとめ
老齢厚生年金は、厚生年金保険に加入していた被保険者が65歳以上になったときに受け取れる年金です。支給額は被保険者期間の長さや平均標準報酬額によって異なります。また、受給開始年齢を繰上げたり繰下げたりすることで、受給額を調整することも可能です。在職老齢年金の仕組みもあり、働きながら年金を受け取る場合には注意が必要です。具体的な手続きや詳細については、日本年金機構や年金事務所に問い合わせることをおすすめします。
退職金

退職金の種類にはさまざまな形式があり、企業や公務員、さらには個人事業主や自営業者に対しても異なる制度があります。以下に、主な退職金の種類とその特徴を詳しく説明します。
企業の退職金制度
確定給付型退職金制度(DB: Defined Benefit)
- 概要: 退職時に支給される金額が事前に確定している制度。企業が退職金の支払いを保証します。
- 特徴: 勤続年数や最終給与を基準に退職金額が計算される。
- 例: 退職一時金制度、企業年金制度。
確定拠出型退職金制度(DC: Defined Contribution)
- 概要: 企業が毎月一定額を拠出し、その資金を従業員が運用する制度。最終的な受取額は運用成績に依存します。
- 特徴: 従業員の運用成果により退職金額が変動する。運用リスクを従業員が負います。
- 例: 企業型確定拠出年金(401k)。
中小企業退職金共済制度(中退共)
- 概要: 中小企業が加入する国の退職金共済制度。中小企業向けに設けられた退職金積立制度。
- 特徴: 中小企業が毎月一定額を拠出し、従業員が退職時に退職金を受け取る。
- 運営機関: 独立行政法人 勤労者退職金共済機構。
公務員の退職金制度
退職手当制度
- 概要: 公務員が退職時に受け取る一時金。国および地方公務員に対して適用されます。
- 特徴: 勤続年数や最終給与を基準に計算される。退職金額は公務員共済組合が運営します。
個人事業主や自営業者向けの退職金制度
小規模企業共済制度
- 概要: 小規模企業の経営者や個人事業主が加入する共済制度。老後の資金や事業廃業時の資金を積み立てることができます。
- 特徴: 掛金は全額所得控除の対象となり、積立金は将来的に一時金または年金形式で受け取ることができます。
- 運営機関: 中小企業基盤整備機構。
その他の退職金制度
企業年金制度
- 概要: 企業が運営する年金制度で、従業員が退職後に年金として受け取ることができる。
- 特徴: 確定給付型(DB)と確定拠出型(DC)の両方の形式がある。
確定給付企業年金(DB)
- 概要: 企業が従業員のために設ける年金制度で、給付額が確定している。
- 特徴: 企業が運用リスクを負う。
確定拠出企業年金(DC)
- 概要: 企業が拠出した掛金を従業員が運用し、運用成果に基づいて年金を受け取る。
- 特徴: 従業員が運用リスクを負う。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
- 概要: 個人が自ら掛金を拠出し、運用する年金制度。60歳以降に年金または一時金として受け取ることができる。
- 特徴: 掛金は全額所得控除の対象となる。運用リスクを個人が負う。
退職代行利用時の注意点

退職代行サービスを利用する際には、いくつかの注意点があります。これらを理解しておくことで、スムーズかつ問題なく退職手続きを進めることができます。このセクションでは、退職代行を利用する際の重要なポイントを詳しく解説します。
退職代行サービスの選び方
退職代行サービスを選ぶ際には、信頼性や実績を重視しましょう。以下のポイントを確認してください。
信頼性
口コミや評判を確認し、信頼できる業者を選びましょう。弁護士が運営するサービスであれば、法的な問題にも対応してくれるため安心です。
実績
過去の実績や成功事例を確認し、実績のある業者を選ぶと安心です。
料金体系
料金が明確で、追加費用が発生しない業者を選びましょう。安すぎる料金には注意が必要です。
退職届の提出
退職代行サービスを利用する際には、退職届の提出を代行業者に依頼しますが、以下の点に注意が必要です。
提出方法
退職届の提出方法は、郵送やメールなどさまざまです。事前に代行業者と確認し、適切な方法で提出してもらいましょう。
退職届の内容
退職理由や退職日など、必要な情報を正確に記入し、代行業者に提供しましょう。不正確な情報があると手続きが遅れる可能性があります。
退職給付金の確認
退職代行サービスを利用する前に、自分が受け取る予定の退職給付金について確認しておくことが重要です。
就業規則の確認
自分の会社の就業規則や労働契約書を確認し、退職給付金の支給条件や金額を把握しておきましょう。
未払い賃金や有給休暇の確認
退職時に未払いの賃金や未消化の有給休暇がある場合、それらが退職給付金に含まれるかどうかを確認しておきましょう。
退職理由の選定
退職代行を利用する際には、退職理由の選定も重要です。
自己都合退職
自分の都合で退職する場合、自己都合退職となります。失業保険の給付開始が遅れることがあります。
会社都合退職
会社の都合で退職する場合、会社都合退職となります。失業保険の給付が早く開始されるため、有利です。退職代行業者に相談して、適切な退職理由を選定しましょう。
法的な対応
退職代行サービスを利用する際には、法的な対応も考慮する必要があります。
弁護士の関与
トラブルが発生した場合、弁護士が関与することで法的に適切な対応が可能です。弁護士が運営する退職代行サービスを利用することをおすすめします。
労働基準監督署への相談
退職代行サービスを利用しても、会社が対応しない場合は労働基準監督署に相談することも検討しましょう。
退職代行サービス選びのポイント

退職代行サービスを選ぶ際には、信頼性やサービス内容、料金などをしっかりと比較し、自分に最適なサービスを選ぶことが重要です。ここでは、退職代行サービスを選ぶ際の具体的なポイントについて詳しく解説します。
信頼性と実績
信頼できる退職代行サービスを選ぶためには、その信頼性と実績を確認することが重要です。
口コミや評判
インターネット上の口コミや評判を確認し、実際に利用した人々の感想を参考にしましょう。特に、具体的な成功事例や問題解決の方法についての情報が役立ちます。
実績
退職代行サービスの運営期間やこれまでの実績を確認しましょう。多くの退職を成功させてきたサービスは、信頼性が高いと考えられます。
所属団体
一部の退職代行サービスは、弁護士や労働組合が運営しています。これにより、法的なトラブルに対応できるため、安心感があります。
サービス内容
退職代行サービスの内容を確認し、自分のニーズに合ったものを選びましょう。
対応範囲
退職代行サービスが提供する対応範囲を確認しましょう。退職届の提出や連絡代行、退職後のアフターフォローなど、具体的なサービス内容をチェックします。
連絡方法
退職代行業者との連絡方法や対応時間を確認しましょう。24時間対応や緊急時の対応が可能なサービスは便利です。
追加サービス
退職代行に加えて、カウンセリングや転職支援などの追加サービスが提供されているか確認しましょう。
料金体系
料金体系が明確で、納得できるかどうかを確認しましょう。
料金の透明性
料金が明確に示されており、追加費用が発生しないか確認します。安すぎる料金や不透明な料金体系には注意が必要です。
料金プラン
基本料金やオプション料金を確認し、自分の予算に合ったプランを選びましょう。分割払いが可能かどうかもチェックします。
法的対応能力
法的なトラブルに対する対応能力を持つ退職代行サービスを選ぶことも重要です。
弁護士の関与
弁護士が運営する退職代行サービスや、提携している弁護士がいるサービスを選ぶと、法的トラブルに対して安心です。
労働組合のサポート
労働組合が運営する退職代行サービスは、労働者の権利を守るためのサポートが充実しています。
サポート体制
退職代行サービスのサポート体制を確認し、安心して利用できるかどうかを確認しましょう。
カスタマーサポート
問い合わせへの対応や、サポート体制が充実しているかを確認します。迅速かつ丁寧な対応が求められます。
アフターフォロー
退職後のフォローアップや、トラブルが発生した際の対応についても確認しましょう。
実際の利用者の体験談
実際に退職代行サービスを利用した人々の体験談を参考にすることで、より具体的な情報を得ることができます。
レビューサイト
専門のレビューサイトや掲示板で、退職代行サービスの利用者の体験談をチェックしましょう。
SNS
TwitterやFacebookなどのSNSでの投稿も参考にできます。ハッシュタグを利用して検索することで、最新の情報を得ることができます。
まとめ
退職代行サービスを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを押さえることが大切です。まず、信頼性と実績を確認しましょう。口コミや評判、実績などを参考に、信頼できるサービスを選びます。
次に、サービス内容を詳細に確認し、自分のニーズに合った対応範囲や追加サービスが提供されているかをチェックします。また、料金体系が明確で透明性があることも重要です。不明瞭な追加費用が発生しないか確認し、納得できる料金プランを選びましょう。
法的トラブルに対応できる能力も考慮し、弁護士が関与しているか、労働組合のサポートがあるかを確認します。さらに、カスタマーサポートやアフターフォローの体制もチェックし、迅速かつ丁寧な対応が期待できるサービスを選ぶことが大切です。
最後に、実際の利用者の体験談やレビューを参考にすることで、具体的な利用経験を知り、より信頼性の高い選択ができます。これらのポイントを総合的に考慮して、自分に最適な退職代行サービスを選び、安心して退職手続きを進めましょう。

