はじめに

退職代行サービスを利用して会社を辞めた場合、その後の手続きに関して不安や疑問を抱える方が多いです。特に確定申告や源泉徴収票の受け取り方法については、どうすればいいのかと悩むこともあるでしょう。退職代行を使った場合でも、通常の退職と同様に確定申告が必要になるケースがありますが、必要な手続きや書類を理解していればスムーズに進められます。
例えば、退職後に別の会社にすぐに再就職した場合は、新しい会社が年末調整を行うため、確定申告をする必要はありません。しかし、年内に再就職せずに失業保険を受け取る場合や、医療費控除を受けたい場合などは、確定申告が必要です。また、退職時に会社から発行される源泉徴収票も重要な書類となりますが、退職代行を利用した際にどのように受け取るかも注意が必要です。
この記事では、退職代行を利用した後に発生する確定申告の手続きや源泉徴収票の受け取り方について詳しく解説します。
1. 退職代行後の確定申告は必要?

退職代行サービスを利用した場合でも、確定申告が必要になるかどうかは、通常の退職と同じ基準で判断されます。確定申告が必要なケースは、退職後の収入状況や控除を受けたい場合などによって異なります。以下、詳しく説明します。
確定申告が必要な主なケース
退職代行を利用したかどうかに関わらず、以下のケースに該当する場合は、確定申告が必要です。
(1) 年間の所得が2000万円を超える場合
日本国内の個人が年間で2000万円以上の所得を得た場合は、年末調整が行われたかどうかに関係なく、確定申告を行う義務があります。退職後に高額な退職金や別の収入があった場合、必ず確定申告を行う必要があります。
(2) 複数の収入源がある場合
副業や投資、フリーランスとしての活動など、複数の収入源がある場合も確定申告が必要です。会社の給与以外に収入がある場合は、それをまとめて申告しなければならないため、退職代行を利用した場合でも同様に確定申告を行います。
(3) 退職後に再就職せず、年内に他の収入があった場合
退職後にすぐ再就職した場合、新しい会社で年末調整が行われるため、確定申告は不要です。しかし、年内に再就職せず、失業保険などの収入があった場合は、年末調整ができないため、自分で確定申告を行う必要があります。特に失業保険は非課税ですが、他の収入や控除が関係する場合は確定申告が必要になることがあります。
(4) 医療費控除や住宅ローン控除を受けたい場合
医療費控除や住宅ローン控除を受けたい場合、たとえ年末調整が行われたとしても、追加で控除を受けるためには確定申告が必要です。退職代行を利用して退職した後でも、医療費が高額だったり、住宅ローン控除の適用を受けたい場合は、確定申告を通じてその旨を申告する必要があります。
確定申告が不要な場合
以下のような場合には、基本的に確定申告を行う必要はありません。
- 年末までに再就職し、新しい会社で年末調整が行われた場合
- 年間の給与所得が2000万円以下で、副業や他の収入がなく、すべての税金が年末調整で処理される場合
このような状況であれば、退職代行を利用したかどうかに関わらず、特別な申告は不要です。
退職代行後の確定申告での注意点
退職代行を利用した場合でも、確定申告の手続きは通常の手続きと変わりません。ただし、退職後の状況によっては、以下の点に注意が必要です。
- 源泉徴収票の受け取り:確定申告に必要な源泉徴収票は、退職代行を利用した場合でも必ず入手しましょう。会社が発行する書類であり、確定申告の際に重要な書類となります。
- 控除の準備:医療費控除や寄付金控除などを申告する場合、必要な領収書や証明書をしっかりと準備しておくことが大切です。
退職代行後でも、適切な手続きを踏んで確定申告を行うことで、税金面でのトラブルを避けることができます。
2. 源泉徴収票の受け取り方法

退職後の確定申告において、源泉徴収票は非常に重要な書類です。退職代行サービスを利用した場合でも、会社から発行される源泉徴収票をきちんと受け取ることが必要です。以下、退職代行を利用した際の源泉徴収票の受け取り方について詳しく説明します。
源泉徴収票とは?
源泉徴収票とは、会社が従業員に対して支払った給与や賞与の総額、その年に天引きされた所得税などの金額が記載された書類です。通常、年末調整を経て年末に発行されますが、退職時にはその年の支払済みの給与分に基づいて発行されます。
この書類は、確定申告を行う際に非常に重要で、正確な収入や税金の申告に必要です。したがって、退職後も必ず手元に確保しておくことが求められます。
退職代行利用時の源泉徴収票の受け取り方法
退職代行サービスを利用して退職した場合、通常の退職とは異なる手続きが発生することがあります。以下に、源泉徴収票の受け取り方法について詳しく解説します。
(1) 退職代行会社経由で受け取る
一部の退職代行会社は、退職手続きの代行だけでなく、退職後に必要な書類の受け取り代行も行っています。これにより、退職後に直接会社とやり取りすることなく、源泉徴収票を代行会社経由で受け取ることが可能です。
- メリット:会社と直接連絡を取らずに済むため、ストレスが少ない。
- デメリット:一部の代行サービスでは追加料金が発生することがあるため、事前に費用を確認する必要があります。
(2) 自分で会社に連絡して受け取る
退職代行を利用して退職した後も、源泉徴収票を自分で会社に依頼して受け取ることは可能です。通常、退職後1~2ヶ月以内に会社から自動的に郵送されますが、もし届かない場合は以下の手順を踏みます。
- ステップ1:会社に連絡
会社の人事担当者や総務部に連絡を取り、源泉徴収票を郵送してもらうよう依頼します。退職代行サービスを利用したことで、会社との連絡が途絶えている場合でも、基本的には対応してもらえます。 - ステップ2:正しい住所を伝える
退職後に引っ越しをした場合は、会社に最新の住所を伝え、正しい住所に郵送してもらうよう手配することが重要です。
(3) 退職代行会社にサポートを依頼する
一部の退職代行会社は、退職後の書類受け取りに関するサポートを提供しています。例えば、会社に対して源泉徴収票を請求する手続きを代行してくれる場合もあります。このサービスを利用することで、自分で会社に連絡する手間を省くことができます。
- メリット:書類の請求や受け取りを代行してもらえるため、退職後の負担が軽減されます。
- デメリット:サービス内容により追加料金が発生する可能性があります。
源泉徴収票が届かない場合の対処法
退職代行を利用した場合、場合によっては会社との関係がスムーズでないことも考えられます。そのため、以下のような対処法を考慮する必要があります。
(1) 会社に再度連絡する
源泉徴収票が期日までに届かない場合、まずは会社に再度連絡を取りましょう。郵送手続きが遅れている可能性もあるため、丁寧に確認することが重要です。
(2) 税務署に相談する
会社が源泉徴収票の発行を怠ったり、どうしても受け取れない場合は、税務署に相談することが可能です。税務署は、会社に対して源泉徴収票を発行するよう指導することができます。
(3) 退職代行会社を通じて再度依頼する
もし代行会社を通じて退職手続きを行った場合、再度代行会社に連絡し、書類の受け取り状況について確認してもらうことも可能です。
受け取り後の源泉徴収票の保管方法
受け取った源泉徴収票は、確定申告やその他の手続きに使用するため、大切に保管しましょう。紛失した場合、再発行に時間がかかることがあります。
3. 確定申告の手続き方法

退職代行を利用した後、確定申告が必要な場合、その手続きにはいくつかのステップがあります。正確な書類を揃え、手順に従って進めることで、スムーズに申告を完了させることができます。ここでは、確定申告の具体的な手続き方法について詳しく説明します。
必要な書類の準備
まずは、確定申告に必要な書類を準備しましょう。状況に応じて準備すべき書類が変わるので、以下を参考にしてください。
(1) 源泉徴収票
会社から発行される源泉徴収票は、給与所得や源泉徴収された所得税の額を証明する重要な書類です。退職代行を利用して退職した場合でも、必ず入手しておきましょう。
(2) 控除証明書
控除を受けるためには、以下のような証明書が必要です。
- 医療費控除:医療機関や薬局での領収書、交通費の記録など
- 生命保険控除:生命保険会社から発行される控除証明書
- 住宅ローン控除:金融機関からの借入金残高証明書や、購入時の契約書
- 寄付金控除:寄付先から発行される領収書や証明書
(3) その他の収入証明書
副業収入やフリーランスでの収入がある場合、それに関連する収入証明書も揃える必要があります。たとえば、アルバイトの給与明細や取引先からの支払調書などです。
(4) マイナンバー関連書類
確定申告の際には、本人確認書類としてマイナンバーが必要になります。通知カードやマイナンバーカードを準備しましょう。
申告書の作成方法
書類を準備したら、実際に申告書を作成します。申告書は手書きで作成するか、電子申告を利用するか選べます。
(1) 紙の申告書を使用する場合
税務署や郵便局、役所で配布されている「確定申告書」を使用して、手書きで記入します。国税庁のウェブサイトからもダウンロード可能です。
- 申告書A:給与所得者が主に使用する簡易な申告書です。給与所得以外に特に複雑な収入がない場合は、こちらを使用します。
- 申告書B:自営業者や複数の収入源がある方、あるいは控除が多い方が使用します。
手書きで申告書を作成する際は、ミスがないように慎重に記入し、計算を間違えないようにしましょう。
(2) e-Taxを利用する場合
電子申告システム「e-Tax」を利用すると、インターネットを通じて申告書を作成・提出することができます。こちらは税務署に行かずに済む便利な方法です。
- メリット:計算ミスのリスクが少なく、入力ガイドがあるため初めての方でも利用しやすい。また、還付金の振り込みが早い。
- 手順:e-Taxウェブサイトにアクセスし、必要な情報を入力して申告書を作成します。作成後は、マイナンバーカードや電子証明書を使って送信します。
申告書の提出方法
申告書を作成したら、次は提出です。提出方法は以下の通りです。
(1) 税務署に直接提出
作成した申告書を、居住地を管轄する税務署に直接持参する方法です。申告時期には税務署が混雑するため、早めに訪れるのが望ましいです。
(2) 郵送で提出
郵送による提出も可能です。郵送の場合は、提出期限内に必着で送付する必要があります。また、控えを返送してもらう場合は、返信用封筒を同封しましょう。
(3) e-Taxでのオンライン提出
e-Taxを利用した場合は、オンラインでそのまま申告書を送信できます。自宅から簡単に手続きが完了するため、忙しい方にとって非常に便利です。
還付金の受け取り方法
確定申告で税金の還付が発生する場合、還付金を受け取る方法は銀行振り込みが一般的です。申告書に口座情報を記載し、還付金の振り込みを待ちましょう。e-Taxを利用すると、還付金の振り込みが通常より早くなる場合があります。
確定申告の期限
確定申告の提出期限は通常、毎年2月16日から3月15日までです。期限内に申告書を提出しなければ、延滞税や無申告加算税が発生する可能性があるため、早めに準備を進めましょう。
4. よくある質問(FAQ)

退職代行を利用した後の確定申告や源泉徴収票の受け取りに関して、多くの方が抱える疑問をまとめました。よくある質問(FAQ)を参考に、疑問点を解消し、スムーズな手続きを進めましょう。
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退職代行を利用した後でも確定申告は必要ですか?
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はい。退職代行を利用した場合でも、確定申告が必要なケースがあります。例えば、年内に再就職していない場合や、副業収入がある場合、または医療費控除などを受けたい場合には、確定申告を行う必要があります。通常の退職と同様に、自分の収入や控除を正しく申告することが求められます。
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退職代行を利用しても源泉徴収票はもらえますか?
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はい。退職代行を利用した場合でも、会社は法律に基づいて源泉徴収票を発行する義務があります。退職代行サービスを利用して退職した後も、会社から源泉徴収票が郵送されます。もし届かない場合は、会社に連絡して郵送を依頼しましょう。代行サービスが書類の受け取りをサポートしている場合もあります。
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退職代行サービスに源泉徴収票の受け取りを依頼した場合、費用はかかりますか?
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退職代行会社によって異なります。一部の退職代行サービスでは、書類受け取りの代行が基本料金に含まれている場合もありますが、別途料金が発生することもあります。事前に退職代行会社に確認し、追加料金がかかるかどうかを確認することが重要です。
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確定申告の際に、源泉徴収票を紛失した場合はどうすればよいですか?
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もし源泉徴収票を紛失した場合は、まず会社に連絡して再発行を依頼しましょう。会社は再発行に対応する義務があります。再発行が難しい場合や、会社と連絡が取れない場合は、税務署に相談することも可能です。税務署は会社に源泉徴収票を発行するよう指導してくれます。
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e-Taxを使う場合、退職代行を利用しても問題なく申告できますか?
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はい、退職代行を利用しても、e-Taxを通じた電子申告は通常通り行えます。e-Taxを利用する際は、必要な書類(例えば源泉徴収票や控除証明書)を準備して、国税庁のウェブサイトから手続きを進めます。e-Taxは、計算ミスが減り、還付金の振り込みが早くなるメリットもあります。
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確定申告を行わないとどうなりますか?
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確定申告が必要なケースで申告を行わないと、延滞税や無申告加算税が発生する可能性があります。また、税務署から指摘された場合、追加で税金を支払うことになり、場合によってはペナルティが課されることもあります。必要な場合は、必ず期限内に確定申告を行うようにしましょう。
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確定申告の提出期限を過ぎてしまいました。どうすれば良いですか?
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もし確定申告の提出期限を過ぎてしまった場合でも、できるだけ早く申告を行うことが重要です。遅れても申告することで、ペナルティを最小限に抑えることができます。また、還付申告の場合、申告期限を過ぎても5年間は還付請求が可能ですので、すぐに手続きを進めましょう。
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退職代行を使った場合、失業保険の申請に影響はありますか?
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退職代行を利用して退職した場合でも、失業保険の申請に影響はありません。ただし、失業保険の受給には「自己都合退職」と「会社都合退職」で条件が異なります。自己都合退職の場合、給付開始までに待機期間が長くなるため、ハローワークで正しい情報を確認しておくことが大切です。
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医療費控除や住宅ローン控除を申告したい場合、どのように申請すれば良いですか?
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医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合、確定申告でそれぞれの控除に必要な証明書を提出する必要があります。医療費控除では領収書や交通費の記録、住宅ローン控除では金融機関からの借入金残高証明書を用意し、申告書に正確に記載して提出します。e-Taxでもこれらの控除申請は可能です。
まとめ
退職代行を利用した後の確定申告や源泉徴収票の受け取りは、通常の退職と同じように重要な手続きです。確定申告が必要な場合、源泉徴収票を受け取り、控除証明書などを準備して、期限内に正確に申告しましょう。申告書の作成は紙の申告書を利用するか、便利なe-Taxを利用することができます。特にe-Taxはミスが少なく、還付金の受け取りが早くなるメリットがあります。
源泉徴収票の受け取りが難しい場合は、退職代行会社や税務署に相談し、必要な書類を揃えて手続きを進めることが大切です。また、確定申告を行わない場合はペナルティが発生する可能性があるため、必ず期限内に対応するよう心掛けましょう。よくある質問(FAQ)を活用し、手続きに不安がある場合は専門家や税務署のサポートを受けることも検討して、スムーズに税務処理を完了させましょう。

